日本史Bの知識でわかる鎌倉時代の仏像

来る運慶展に備えて仏像の歴史を高校の教科書(=日本史B)に出てくる内容で予習してみました!

この記事では鎌倉時代、いや日本仏師界のスーパースター運慶を中心に

  1. 造仏史
  2. 主流の素材と作り方
  3. 仏像のビジュアル

の、3つの視点でまとめます。

広告

造仏史

前回の日本史Bの知識でわかる平安時代の仏像では、薬師信仰の流行から定朝様の完成までをサクッと確認しました。

この記事では1185年~1333年の武士の台頭から慶派の流行までを見ていきます!

武士の台頭

教科書の見出しみたいになってしまいましたが、政権闘争に武士の勢力が加勢し、貴族の時代から武士の時代へと移行が始まります。

👉1156年の保元の乱:上皇(崇徳上皇)VS天皇(後白河天皇)

👉1159年の平治の乱:藤原摂関家同志の戦いに武家が加勢(藤原通憲・平清盛VS藤原信頼・源義朝)

平治の乱以降、源平の合戦が始まりますが造仏史的には1180年・平重衡による南都焼討が大きなトピックスとなります。

南都焼討は当時反平氏勢力であった東大寺・興福寺を攻め、堂塔や伽藍を焼失させます。東大寺の大仏や諸仏もともに焼失してしまいました。

Pick UP 仏師! 運慶(うんけい)

鎌倉幕府の成立後、平重衡による南都焼討で焼失した東大寺・興福寺の再興や造仏・修理等が源頼朝らを中心に発願されます。

この時、再興の中心にいたのが慶派仏師です。

慶派仏師は定朝の子、覚助のからなる奈良・興福寺を中心に活動していた「奈良仏師」の系譜です。(覚助の子は奈良仏師の他に京都で活躍した院派仏師もいます)

運慶の父・康慶に始まり、運慶・兄弟弟子の快慶、さらに運慶の子・湛慶らが中心となって活動しています。

運慶の作風は写実性が高く、武士に好まれるような力強さがにじみ出ています。

造仏の衰退

鴨長明の『方丈記』に書かれるように、1180年ごろに大火・飢饉・地震などが多発し、末法の世からの克服を願い極楽浄土への往生を説く宗派や、どんな階層の人々でも行いやすい修行(易行)を1つだけ選び専念して行う(専修)、新興宗教が流行しました。

この鎌倉時代に発生した新興宗教は造仏を必要としない宗派が流行したため、以降革新的な仏師が現れることはありませんでした。

👉ひたすら念仏を唱える:浄土宗、浄土真宗、時宗

👉ひたすら経典の題目を唱える:日蓮宗(法華宗)

👉座禅を行う:禅宗(臨済宗・曹洞宗)

主流の素材と作り方

平安時代とちょっと違う寄木造り

平安時代に引き続き寄木造りでの作成が主流となりますが、平安時代と比べると像の内側をくりぬく「内刳り」がざっくりとしています。

これは写実性のある表現を取るために平安期よりも深い彫刻を施すことが増え、厚みを残したまま作成することが増えたからです。

これにより物質的にも見た目的にも重量感のある像がこの時代に多く作られます。

また、目には玉眼という、像の裏から水晶をはめ込む手法が取り入れられ、より人の瞳に近い表現を実現しています。

仏像のビジュアル

慶派は写実性に特化

慶派の作風は写実性に特化しており、像全体が分厚く存在感があります。像自体の肉体把握(腕の動き方とか肉の付き方等)が進み、玉眼などの異素材を用いた表現技法も発達します。

奈良仏師の系譜は奈良の興福寺の仏像から作風に影響を受けたとされており、眼尻は上がり顔も面長よりになります。

また、こちらも当時の政治不安や災厄への対抗、そして武士の好みに合わせた力強さや威圧感を感じさせる仏像が作られていきます。

これらすべての要素を芸術作品として昇華させたのが運慶であり、中でも興福寺北円堂の無著・世親菩薩は世界的に見ても評価されている肖像彫刻です。

快慶の安阿弥様

快慶の作風も慶派を踏襲していますが、運慶よりも「信仰として仏像をどう見るか」ということを重視しているようで、「安阿弥様」と呼ばれる形式美を確立してます。

安阿弥様は三尺の阿弥陀如来立像で来迎印という印相を示しています。来迎印は「生前に善行を行った人は極楽浄土に行ける」という意味を持っています。

まとめ

  • 南都焼討により焼失した東大寺・興福寺の再興で慶派が主流となる
  • 武家に好まれる力強さが表現された仏像が求められる
  • Pick UP 仏師👉運慶
  • 移行流行した宗派は仏像を必須としないため、革新的な仏師は現れない
  • 玉眼を持ちいる・肉体把握が進むなど写実性の高い表現が行われる
  • 寄木造りで内刳りは荒い

▼このシリーズのまとめはコチラ!
日本史Bの知識でわかる仏像のまとめ

▼造仏史がわかったら運慶展に行こう!
55日間の奇跡! #運慶展 で仏像の背中を見よう!

それでは、これにて。

ドロン。

文月詩乃
「やってみたいをカタチにする」をモットーに日々試行錯誤中! 「行ってみたい!」は47都道府県を訪ねる旅に、「引きこもりたい!」は日々の事務処理を仕組み化することで実現させることを目標に活動しています。2017年8月より、フリーの「事務処理屋」としての活動を始めました!